SHINE and STAR
アレイド「スゲェぞシルク! いきなりここまでやってみせるなんてな!」

アレイドも一緒に喜んでくれて、やったやった、と私の手を取ってぶんっぶん振り回すのだった。
……けれども。
喜びを共有してくれるのは嬉しい。嬉しいのだけど、その、手を握るのは、ちょっと。

シルク「ぅ────ぁ」

そんなコトされると心臓はばくばくの大震災に見舞われてしまうのでして。
どうか避難経路だけは確保させて下さーい。みたいな。


スレッド「────まさか、な」


そんな私たちの様子を、どうしてか真剣な眼差しでお父様が見ていた。しかも眉間にシワを寄せながら物思いに耽り始めてしまった。

シルク「……?」

アレイド「よーし、これならもう大丈夫だな。でもみんなホントーに魔物には気をつけろよー」

と、お父様に気を取られてる内にアレイドがむくりと立ち上がった。
話の流れからして、これは素っ気ないながらも立ち去ろうとするサインなのだと思った。
……言わずとも、二度目だからなんとなく分かってしまうのだ。
話の展開とか脈絡なんて関係なく、アレイドはアレイドのペースで進んでいく。

アレイド「そんじゃ、俺はこれで────」

本当に素っ気ない。
次にいつ逢えるか……もう逢えないかもしれないのに、全く惜別の情を窺わせない。

数秒前まで嬉しさに溺れていた私は、氾濫した寂しさに流される。

────あの時だって────

スレッド「旅をしている、と言ったな。……人助けの旅を」

すると一度目と同様、お父様の声がアレイドを阻む。

アレイド「ああ、そうだけど?」

けれどその質問の意味は理解されず、アレイドは首を傾げた。
……それ故に、とも言える。
一呼吸置いて発せられた次の声は、行く手を阻むのに十分すぎた。


スレッド「その旅に、娘も連れて行ってはくれぬか?」

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