SHINE and STAR
アレイド「……は?」

シルク「……はい?」

俄然、唖然。断然、呆然。
それはどんな魔法か、空気は凍りついて静まりかえった。
突拍子のない展開を誰が予測し、誰が対応できようか。

フィル「お、王様っ! それは一体どのような意味合いで……!?」

スレッド「なに、言葉に表裏などない。どうだアレイド、迷惑でなければ承諾してくれる事を願う」

アレイド「俺は別に……」

フィル「奴の意思は関係ありません! 魔物が危険な存在である事は既に確認済みの筈でしょう! 王様が被った痛みを姫様にも与えると言うのですか!?」

魔物はお父様を苦しめ、深い傷を付けた。その痛みを最も知るのは言うまでもなく、被害者であるお父様自身だ。にも関わらず旅に向かわせる事とは……わざわざ狂獣の眼前に身を置く事と同義なのだろう。
だから、淡々とした口調にフィルは感情を抑えきれず激昂した。
私の代わりに、フィルが怒った。

スレッド「獅子は子を崖から突き落とす。それが理由だ、とでも言っておこうか。……いいや。これも関係ないな」

しかしお父様は動じない。
問掛けに対し、後付けじみた理由(答え)を単調に語るだけ。加えてその最後には再度問掛けが。
……お父様が、私へ流し目を送っているのだ。

アレイド「確かに魔物は危険だ。その危険に自ら向かうんだから、無事でいられる可能性はもちろん低い。何が起きるかも分からないしな。……でもまぁ、俺も男だ。その時は守ってやるだけの力はある。たださ────本人はどうなんだよ」

二人揃って是非を問う。
それもそうだ。
私の意志を決定するのはお父様ではなく、フィルでもなく、アレイドでもない。私以外に、誰が決定すると言うのだろう。

ああ、なら────と。
私は無意識の内に肯定の意を示してたりする。

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