SHINE and STAR
コットン「────その人物こそがアレイドさんである、と?」

スレッド「姿は見ていないし、声も聞いていないのだがな。それでもあのシルクの笑顔を見れば、自然と理解出来るというものだ」

アミティ「そのような過去があったなんて……私、存じませんでしたが」

スレッド「無理もない。シルクがその話をするつもりなどなければ、私とて誰にも語るつもりはなかったのだから」

……そう。娘を照らした人物が現れるまでは。
姿、形、性別、年齢すらも定かではなく、予想も検討も困難であったその人物────アレイド。
何かと私の目を避けていたようで、窓からの侵入を繰り返していたと思われる。今になって考えれば……城の警備も簡素なものだったのだな。

スレッド「そして、後にまたシルクから笑顔が消えた。理由は単純で、会いに来る者がいなくなっただけの事」

娘の表情を見れば一目瞭然。
縁取っていた者を失い、薄弱な中身は行方を探して放浪していたのを覚えている。

スレッド「そのままでいれば。変わらずに在り続ければ。……後になって悔やんだ。自身の無力さ故か、他者が与えた幸に縋がってでもシルクへの光を欲した」

コットン「────そして、アレイドさんは帰ってきた。貴方はこれが好機だと、シルクをアレイドさんのもとへ」

話を理解したコットンが続ける。
ただ、表情は理解しているようには見えない。

私は黙って頷いた。

コットン「……そうですか。貴方はこうも容易く、自らの娘を手放すのですね」

スレッド「…………」

コットンは表情を変えず、口調を変えずに、一定のリズムで悪態をついてくる。
それは、静かであるがこそ見せる威圧。

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