SHINE and STAR
コットン「……安心、しました。貴方はやはり、シルクの唯一の父親でした」

スレッド「父親らしくは、ないのだがな」

コットンは笑ったのか、それとも呆れたのか判別できない顔をした。
しかし私の想いは通じている。それだけは伝わった。

……いや、しかし。
よくよく考えれば、娘が出発する際、何故コットンは今のように反論をしなかったのだろうか。出発してしまった後では今更だというのに。

スレッド「まさかお前。初めから賛成していたもののわざと私に……!」

コットン「さて、良い空腹具合になってきましたし、そろそろ食事の時間としましょうか」

アミティ「あ、はいっ。直ちに準備致します……!」

スレッド「こら、話を反らすでない!」

叫んだところで相手は無視。
その代わりか段々と慌ただしくなる周囲。
娘の旅も、それに同じだろうか。

スレッド「……まあ、いいか」

────そして“はじまり”はこの時始まった。

未来など誰にも予測はできないが、娘の行く先には幸福があると信じている。
……否、もたらす人物が、光があると確信している。

帰りは待たない。しかし戻ってきた娘の成長ぶりを、誰よりも早く抱き締めたい。
そうして結局、楽しみに待つ。
今はただ、

スレッド「行ってらっしゃい」

その言葉を餞に、父親らしく光を見届けた。

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