SHINE and STAR
何が危険かと言えば、少しでも機嫌を損ねると剛腕が猛威を振るうからだ。しかもとびっきりの笑顔で。
美しいバラには棘があるとか言うが、その痛みは棘みたいに優しいものじゃないのだ。
俺も幾度となく剛腕の餌食になり、その度に骨が砕けていったんだから。
ったく、怪力にも程があるぜ!
笑顔だって作り物に間違いない。男を誘き寄せ、取って喰らおうと常日頃策略しているんだ! うん!
────って、待て。今のあいつはエスパーだ。下手な悪口は寿命を縮ませかねないのでは……?

「……嫌な冷や汗が……」

シンディ「うん? 何を思い出したのかな?」

……セーフ。今のは読まれてないらしい。どうやらエスパーも万能ではないようだ。
とにかく死にたくなければ、シンディは『危険』という札付きの美人と認識しておけ世の中の男たち。

ところで、王家リーデンネルツは元々俺が住んでいた国にある。
元々、なのは約5年前、親父の事情とか何とかで別国に引越したから。
それまで俺の家はシンディの家にかなり近かったりした。……ああ、シンディの家、というよりはシンディの“城”なのだが。
それはともかく、俺とシンディの間は今も国境線を挟んでいるが……シンディはよく遊びに(殺しに)来る。ほぼ毎日。
だからまあ、引越したんだか引越してないんだか分からないくらい。

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