SHINE and STAR
アレイド「そっか。じゃあもう一回町をゆっくり見渡して行くか」

やっぱりとでも言うか、こんな時でもアレイドは優しく、勝手に心を弾ませる私に素直に賛同してくれた……のだけど、最速の反応で反発の声が割り込んできた。

フィル「それは断じて許さんぞ貴様。旅は素早く迅速に終結させる」

ぴしゃり。自慢の大きな身体を張って高圧的発言ぴしゃり。
……もちろん声の主はフィルなのであり、その目は何故かアレイドを睨み付けていたり。
その素っ頓狂ぶりにはアレイドだって思わず面食らう。ついでに私も面食らう。

アレイド「いや、終結させるって何なのさ。これ一応、俺の旅なんだが……」

ごもっともなのです。
私たちは相乗りさせてもらった身である以上、不平不満も文句やらも御法度であって当然のはずなのです。

身勝手な考えをぶつけられたアレイドは怒るでもなく、と言うより理解不能といった顔で呆然とする。
とりあえず、みたいな声で反論しても、さらに大きな身体と大きな声がずいずいアレイドを圧すのだ!

怪獣だ……もう既に魔物が暴れてるよ!

フィル「ふん、知った事か。私は、姫様がこの旅に赴く事を納得した訳ではない! 未だ断固反対であるし納得するつもりもない! 先程は王様の命ともあって否応なく了承したが、姫様がお前のような者と伴ってもし万が一の事でもあればと思うと気が気でないわ!」

アレイド「いや、でもその為にお前がいるんじゃな」

フィル「タワケめ! そんな事は重々承知、私は姫様の守護に全身全霊を尽くすと誓っている! されど敵の規模は未知数! 私の命一つでは不足なのかもしれぬのだ! そんな危険極まりない旅でのんびりなどしていられるか!」

ダメだ。
理屈や根拠などは二の次として、まずフィルの咆哮が止まらない。
アレイドが口を挟むも遮断。周囲を全く気にせず耳の痛くなる声量で次々に文句を並べていく。

……って、周囲?

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