SHINE and STAR
シンディ「うー。いつまで寝てるのさー。ねね、起きて何かして遊ぼうよ。プロレスとか、ボクシングとか、空手とか柔道とか!」

今日も元気に俺を殺す気MAX。
骨だけじゃなく命まで砕くつもりらしい。

「いつまで、ってな……まだ5分も寝てないっ」

もっとも、むざむざ殺されるわけにはいかない。ここは全力で回避してみせねば。

────こうしてシンディに邪魔される毎日。
飽きないと言えば飽きないのだが、落ち着かないのもまた事実。
そして楽しそうに絡んでくるあたり、よほど俺を嬲るのが好きなようで。うん。いつか復讐してやる。

シンディ「むむ、その手に持つのはお父さん特製のかーどだねぇ!」

「わっ、おい……」

そんな俺の決意は弾かれ、忘れていた疲労の源がはしゃぐ怪物にぶんどられてしまう。
ピンチ。ヤツの力ならあんな薄い紙切れくらい軽くへし折っちまう。

シンディ「聞くところによると、これでまほうが使えるというステキな話。……ふふふ、見てなさい……」

不適な笑みに折れそうなカードを添え、何やら精神統一を始めやがったシンディ。
……殺気。悪寒がぞくり。

だからって、

「ムリムリ。俺にだって出来やしないのに、シンディに、しかも一回目で出来るわけ────」

すると不意に、ボン、と小さな爆発音が。……あり?
さらに目の前に赤い炎。……ありり?

「熱っ!? 熱い熱い熱い熱い!」

シンディ「へっへーんっ。どうだぁ! 私の辞書に“不可能”という文字はないのであーる! 代わりに“付加脂肪”とかあるけどね!」

「いや、燃えてるっ、頭が燃えてるから!」

シンディ「うーん、やっぱり才能あるのかなぁ。可愛いいし何でも出来るなんて困っちゃうなぁ。私って罪な女だなぁ!」

「こらー! 人の話はちゃんと聞きやがれーーーー…………」
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