SHINE and STAR
◇◇◇

“カー、カー”

黒き鳥獣は疲弊を極めたのか、はたまた抵抗の手を緩めぬ女性の迫力に気圧されたのか、逃げるように自らの巣へ帰って行った。

これにて、不本意にも巻き込まれたフィルの役目はようやく終わりを迎える。

フィル「ふぅ、やっと」

「っとに役に立たない男ねぇ! 図体がデカい以外に取り柄はないのかい!? けどね、そのデカさも単なる飾りだよ! このハリボテ人間が! 悔しかったら縮んでみな!」

フィル「ぐ、ぐぬぅ……!」

が、巻き込んだ張本人は労いの言葉など口にせず、ただ理不尽な罵声を繰り出すのだった。

確かに役目を終えた事に間違いはない。のだが、大した役目を果たしてはいなかったフィル。
罵声は当然と言えば当然なのだが、そもそも理不尽なのは急遽“カラスからの防衛”現場に投入された事自体だと思われる。

フィル「な、何を言う。私は協力してやったと言」

「協力してやった、だって!? 男なら黙って手を差し出すのが筋だろう!? デカいのは図体だけじゃなく態度もかい!? このダブルハリボテ人間が! 悔しかったら塵になってみな!」

フィル「ぐ、ぐぬぅ……!」

もはや罵声の意味が不明だ。

「ふん、私一人ならもっと上手く振る舞えたのにさ! もういいよアンタ、しっしっ、埃になって散りなさい」

そしてフィルは巧く反論が出来ず、敗北感を背負いつつ現場を後にした。

巻き込んでおいてそれはないだろう、とフィルは心の中で思う。そう、心の中で。口に出したなら罵声はいつまでも止まぬままだろうから。
……賢明な判断である。

◇◆◇

という、“カラスからの防衛”の二次災害によるアレイドへの逆恨み的な怒り。いや、こればかりは意図的になんて事は無理だろうかと。
……何だか不運なフィルに同情する私。

そして四つ目には────

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