SHINE and STAR
───────


「う、うわ……」

まるでこの世のモノでない、とてもおぞましい存在に遭遇したかのように表情は引き吊った。

“、、”

人間には発音の出来ない声(音)を鳴らし、つい最近この世のモノとなったバケモノが這う。

「なん、だろ」

さらに吊る口許。
バケモノだなんて不思議すぎて可笑しくて。そんなのはユメの話じゃないかと小馬鹿にして。

“、、、、”

這う、這う。

「ひ、は、」

吊る、泣く。
ソレはとても可笑しすぎたのだろう。とうとう笑い泣きまでしてしまった。

“────”

ぱかり。
這って来たバケモノは緩慢な動きで両手?両足?口?を展げてみせる。
何やら粘り気のある液体をだらしなく垂らしてバケモノは巨大化する。

別に、本当に巨大化した訳ではない。

笑い泣きして悶える方からすれば、眼前に全身まるごと入れそうな“穴”が出来上がっていた、というだけ。
入りたいなんて願わずとも、遠慮せずにと親切すぎる招待をしてくれそうな“穴”は正に快楽(ぜつぼう)の入口である。

“もう、諦める”

笑い泣きしすぎて疲れたのか、その出来立ての穴で休憩したくなったのか、
穴が近付いて来たのか、穴が覆い被さってきたのか、
それは口だったのか、食道への入口だったのか、
食われるのか、喰らわれるのか、

死ぬか、終わるか、

「はは」

泣きながら渇いた笑いがかすれゆく。
諦める。もう諦めた。招待されよう。招待して。
────穴は、ゆっくりと閉じる。

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