サクラ咲ケ

「綾、ついた」
「ん………おはょ」



眠たそうに目をこすりながら自転車から降りる綾。



「ありがとね春」
「あいょ」



中学の時から、綾を行き帰り運ぶのが俺の役目。



「綾ちゃぁん!!おはよっ」
「綾~~おはよ」
「佐川さん、おはよ」



たくさんの人に挨拶をされる綾…………。



やっぱりモテるなぁ。



まぁ、あんま気にしねぇ。



んなこと気にしてたらきりがねぇからな……。



「春樹君とラブラブ登校だ~♪ついにくっついた!?」
「違うよ万里」



からかってきたのは、綾の親友の万里ちゃん。



「あたしたちは付き合ってなんかないよ。幼なじみだもん」



グサッときますよ綾さん。



俺は幼なじみとか思ってないんですよ………。



「幼なじみだもん」
これが綾と俺の関係。



幼なじみは、一番近くて一番遠い存在なのかもしんねぇ。



16年前から変わらないこの距離を、いつか………



必ずかえてやる。
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