愛す
――音楽すら流れてない車内はかなり気まずい……
『ねぇ、どうして私なんかを雷龍の仲間にしてくれたの?
幹部専用部屋みたいなのに入ちゃって良かったの?』
昼間、説明された"放っておけないからだ"の意味が分からない。
「……お前は特別だ。」
特別……?
何が特別なのか分からない。
――慎は、知っているのだろうか。
私が神龍の元メンバーだったってこと。
慎が総長を勤める、雷龍の初代総長奏多と面識があるということを――
これは偶然なのか?
それとも誰かが仕組んだことなのかも知れない。
――だけど、どっちにしろまだ分からない。
だけど、はっきりとしているのは奏多はもう亡くなっているということ。
慎はそのことも知っているのだろうか
―――だけど臆病な私はそんなこときく勇気はない