愛す




―――「…俺の番号とメアド登録しといた。


何かあったら連絡して来い。」



そういうと慎は車に乗り込み元来た道を引き返して行った。



―――携帯を開くと新たに"一条慎"と登録されていた。



―――ねぇ、慎は気がついてたかな



――私の笑顔が作り笑いだということに



私が心から笑えていないということに。



本当の笑顔なんてもう忘れた。



――大好きな姉と奏多が遙か遠い所へ逝ってしまった時に



『……笑えるかな』



風に呑まれ消えるような小さな囁き。



雷龍で心から笑えるといいな―――




―――この時私はまだ気づいてなかった。



慎が言った"特別"の意味を―――

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