愛す
実は私がいた頃、神龍の上層メンバーだった人たちは私の携帯番号を知っている。
――勿論、拓も。
あの頃から私は電話番号は変えてない。
今でもたまに電話をかけてくれたりする。
私がこの町に逃げてきたにも関わらず何もきいてこない優しい心の持ち主たち。
――その電話には出るものの1度も私から彼らに電話をかけたことはない。
―――だって私は彼らを裏切ってこの町に逃げて来たのだから
奏多の"死"は、私だけではなく彼らの心にも深い傷を作った。
――彼らも辛いのは分かってはいるつもり
だけど私は1人逃げて来た。