愛す




―――「うるさいわねっ!」



突然部屋の中から女の人の叫び声がした。



――勇悟の家の中からだ。



『…ちょっ……』



――慎が勢いよく勝手にドアを開けた。



『…っ!……』



――部屋の光景を見て言葉を失った。



だって―――



空き巣が入った後みたいに玄関からはっきり見える部屋はあちこちに物が散乱してたから――



「……慎?……と、せっちゃん?」



部屋の奥に勇悟が立っていた。



――近くに立っている女の人は多分勇悟のお母さんだろう



『……勇悟。』



多分部屋をひっくり返したのは勇悟のお母さんだろう……



「世の中あんたに同情してくれる友達もいるもんなのね。」



こっちを睨みながら勇悟のお母さんは言った。



――……かなりお邪魔だったみたい。



< 94 / 200 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop