君へ贈る愛の歌
あの日、俺が倒れた日。
目が覚めると細い管に繋がれていた俺の腕。
俺の左手を握ってくれていた、みゅうの小さな手。
目線の先の真っ白な天井。
それで気づいた。
ここが病院だということに。
『心配、かけちゃったか』
なんとなくダルい体を起こして繋がれていない方の手で寝ているみゅうの頭を撫でた。
ずっと傍にいてくれたんだろうな。
心配してくれていたんだろうな。
みゅうへの申し訳なさと、そばにいてくれたことへの愛しさで胸がいっぱいになりそうだ。
元気になったらたくさん甘やかしてあげたい。
心配かけてごめんねってたくさん抱きしめたい。
だから俺が復活するまでちょっと待ってて、みゅう。
『東雲さん、ちょっといいですか?』
みゅうの頭を撫でていたら看護師さんがやってきて、診察室に案内された。
『先生、東雲奏大くんです』
『君にちょっと話があるんだよ』
診察室にいたのは内科医だった。
『最近の体の調子はどうだった?熱がよく出てなかったかい?』
『熱を測ったりはしてなかったけど、ずっとダルい感じがあって・・。痣が出来やすくなってたような気がします』
自分じゃ気づけなかったけど、みゅうが気づいてくれた。
『そうか・・・。貧血も起こしてるようだしねぇ。奏大くんに病気の疑いがある』
『え?風邪とかではないんですか?』
『おそらくだが、白血病の症状とかなり似ているから・・大きな病院で検査をした方がいいね。ここの田舎の病院よりも国立病院に行った方がいい。症状が進んでしまっている可能性が高い』
なんだ、それ。
白血病?
って血液の癌だよな・・・。
『でも、分かんないですよね?まだ』
『だから調べた方がいいんだ。国立病院の紹介状を書くから、明日にでも行った方がいい』
診察室から病室までの道のり。
なんだか足が重たい。
みゅうに、なんて言えばいいんだ。
こんなこと言えるわけない。
まだ俺が白血病なのかも分からないけど・・・もし、白血病だったなら。
みゅうのそばにいる資格、俺にはないんじゃないかな。
なんて弱気になってしまう。