君へ贈る愛の歌
病院内の公衆電話の前で立ち尽くす。
兄貴に、報告しなきゃだ。
俺の両親は物心つくころから海外を飛び回って仕事をしてる。
だから小さい頃はこの田舎で10歳上の兄貴とじいちゃんと暮らしてた。
兄貴は大学に行くために上京してそのまま就職。
それから暫くはじいちゃんと二人暮らしをしていた。
じいちゃんが亡くなるまでだけど。
高校に進学してからは海外飛び回ってる両親の代わりに兄貴が保護者として、三者面談やらなにやらしてくれている。
『・・・はい、東雲です』
『兄貴?・・俺だけど』
『奏大か!?お前連絡あんまよこさねーから心配してたんだぞ』
院内の公衆電話からとりあえず兄貴に報告。
『迷惑かけることになってごめん・・・我儘言ってこっち残ったのに』
『アホか。家族なんだからあたりめーだ。国立病院なら俺んちから近いんだから遠慮せずこっちこい』
兄貴と過ごした時間はぶっちゃけみゅうよりも少ない。
だけど本当に兄貴らしい兄貴でいつも俺の事心配してくれてる・・・。
じいちゃんが亡くなった時、兄貴は一緒に来いって言ってくれたけど、俺がみゅうのそばにいたくてこっちに残ることを選んだ。
それなのに嫌な顔せずにサポートしてくれてた。
だから出来るだけ兄貴に迷惑はかけたくなかったんだ・・。