君へ贈る愛の歌
みゅうの背中をトントンしながら暫く抱きしめていた。
『もう帰れるの?』
『うん。一晩点滴して復活したしね?また検査には来ないといけないみたいだけど。みゅうと一緒に帰るよ』
本当のことが言えなくて、みゅうに嘘をついた。
でっかい病院で検査しないといけないなんて言ったら絶対心配するに決まってる・・・。
『本田先輩にお礼言わなきゃね?かっちゃんのこと運んでくれたの、本田先輩なんだよ!』
ドクン
また、だ。
この黒い気持ち。
ドロドロの嫉妬心。
『そうだったのか。分かった、学校であったら言うよ』
『本田先輩ね?何故かあたしのことみゅうって呼ぶんだよ・・今までブスって言ってたくせに。でも本田先輩って実はやさ・・んっ』
もう、それ以上聞きたくねぇんだ・・・。
みゅうから本田先輩のことを聞くたびに醜い感情が顔を出す。
ごめんね、みゅう。
誤魔化すみたいなキスをして。
『かっちゃ・・んっ・・んぅ』
怖い。
怖いんだ。
みゅうが本田先輩にもってかれてしまいそうで。
幼い頃からみゅうの傍にいて、みゅうに好意を抱いてそうな奴らがみゅうに近づかないようにしてたきた。
家族関係が複雑だったことも手伝ってみゅうは俺以外の他人をそもそも信用しなかった。
それがダメだってことは分かってんだ。
だけど、出来ればずっと俺だけをみていて欲しかったから・・・。
みゅうを鳥籠の中に閉じ込めてしまうように、縛りつけていた。
みゅうの心の闇につけこんで独り占めしてきたんだ。