、ほんとは好きだよ…
―カラカラカラッ!
病室のドアが開く。
音が大きく聞こえるのは、静かな病院だからかな?
そこに、いたんだ。
私が、かつて愛してやまなかった人が。
「今日はやけに早くない?仕事は?母さん。」
本を読んでいた彼は私たちに気付かずそう言って、
顔をあげた。
トンッ!
本が落ちる音がした。
「………ま、さか。……信じられない。」
私は、しばらく身体が動かなかった。
でも、ようやく声を絞り出した。
「あ、あら、た、く……ん。優姫だよ。会いに……きたの。」