秘密の恋の始め方

昔から、俺は良くも悪くもこの容姿で目立ってきたから、俺の隣にいつもいたユズコにそれでいやなことが怒るのは、俺はすごくいやだった。

だから。
いつだって防いでやっていたかったんだ。
それにユズコは気づかなくていいけど。他の誰もが気づかなくてもいいんだけど。

男の子の方が好きなんだよね~、ユズコはただの幼馴染で、そういう眼でなんて見ないんだよ。
なんてやってたら、ユズコがギャグ要員になってって。そうしたらあほみたいな女子からの嫌がらせはほとんどなくて。
俺も面倒くさい女に迫られないし、ほんと名案じゃんこれ、とか思ってたわけだけど(ついでに言うならその相手をユズコが好きなやつに選定したのはご愛嬌だ。それぐらい許してくれたっていいと思う)。

…………まぁ、でも。もうちょい、ユズコ本人にぐらい匂わしておいても良かったかも。

あんまりと言えばあんまりのユズコの態度を思い出して、ちょっと俺は遠い過去に記憶を馳せた。

< 132 / 218 >

この作品をシェア

pagetop