秘密の恋の始め方
気まずそうに愛想笑を浮かべてパタンと副寮長に静かに占められた扉に高倉が必死に声をかけてるけど、届くことはなさそうで。
「・・・・・・・また噂になるじゃねぇかよ」
「ちょっとほんといい加減にしてよね、奏太くん!」
俺が吐いた深いため息は、ヒステリックな高倉の声にかき消されて。ようやくたち消えつつあった俺と高倉の噂は、次の日には学校全体で復活していた。
「勘弁してよ・・・・・・」
「それ、ほんとに俺の台詞だから!」
いつもだったら別にいいんだけど、今回は別だ。ユズコはなんて思うんだ!
ほんと勘弁してほしい。