秘密の恋の始め方
「い、言ったけど、何!? なんでそんな悪だくみ笑顔なのっ」
知らず上がった口角にこの期に及んで逃げ腰のユズコがぎゃひっと叫ぶ。
「ユズコ?」
「なっ、なんですか!?」
真赤な顔でぐるぐるしてるユズコのちっちゃい身体を、ぎゅっと胸に抱きこんだ。
当たる心臓の辺りからばくばくあり得ない大きな音がしてるのは気のせいなんかじゃない。
でもユズコは逃げなかった。
びっくりして、落ち着かなさそうだけど、離れようとはしなくて、ためらいながらもユズコの指先は俺に伸びる。
ここまでくるのにどんだけ時間かかってんのよあんたら。
なんて千沙ちゃんの悪態が聞こえたような気がするけれど。さらっと流させてもらうことにして。