いちご模様の赤い傘
いちご模様の赤い傘
どうして、急にこの駅で降りてしまったのだろう。
俺はふと足を止めた。
『今年一番の冷え込みです』
ってテレビで美人アナウンサーが言っていた。
その言葉通り、まだ日が沈む前だっていうのに吐く息は真っ白だった。
今日の天気は曇りのち雨。
まだ雨は降り出していなかったが、あの、雨独特の匂いがした。
夕日の中見た街は、俺が知っている景色と何も変わっていなかった。
犬を散歩させている人、パン屋の匂い、学生たちの笑い声。
無性に懐かしくなって、ああ、俺も年とったなぁなんてクスッと笑った。