いちご模様の赤い傘
おじさん、か……。

無邪気にはにかむ隣の少女は、どんなに似てても俺の大好きだった彼女じゃない。

俺はもう、おじさん。

彼女もきっと、もうおばさん。



「なんとなく……」

タバコ屋の屋根から滴り落ちる雫を追いかけながら、なぜここに立ってるのか考えた。

「雨見てたくなったんだ」

少女は俺の返事にふふっと優しく笑った。

「雨好きなんですか?」

「うん、まぁ」

雨というより、俺はどんな天気でも好きなんだ。

寒くても暑くても、雨でも嵐でも。

「変わった人……。

私、雨ってあんまり好きじゃないな」

「どうして?」
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