いちご模様の赤い傘
「濡れると寒いから」

そう言って少女は両手を擦り合わせて、ほうっと白い息を吐いた。

俺は、今朝の天気予報のアナウンサーの言葉を思い出した。

「そういえば……、今日雪になるらしいよ」

「えーっ!!」

少女が驚きの声をあげた。

俺が知りたいのはその後に続く言葉。

落胆するのか、喜ぶのか。

「イヤだなぁ……寒くなっちゃう」



やっぱり、この子は俺の知ってる彼女じゃない。

彼女は寒いのは嫌いだってずっと言ってた。

でもなぜか、雪だけは大好きだったんだ。
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