いちご模様の赤い傘
ここは俺が小さい頃――それこそ、生まれた時から思春期を通り過ぎるまで住んでいた街。

だけど降りたのは、見慣れた最寄り駅じゃない。

そこから3つ隣の駅。

俺は無意識にこの駅で降りていた。

いや、無意識なんかじゃなかったのかも。



もしかしたら会えるかも、なんて。

もう何年たったと思ってるんだ。

自分を嘲笑してみたが、何年もたったからこそ、今の彼女を確かめたい気持ちが抑えられなかった。

何年もたったからこそ、この駅で降りても許される気がした。

何年もたったけれど、彼女だけは見つけられる自信があった。



君は幸せになったかい?
< 2 / 19 >

この作品をシェア

pagetop