いちご模様の赤い傘
どんなに年月がたっても彼女だけは俺の中のどこかにいた。

雰囲気が独特だった。

一緒にいる俺を優しく包んでくれるような、それでいて懐かしくてせつないような。

真っ直ぐでいつも輝いていて、俺にはちょびっと眩しかった。

俺は彼女が大好きだったし、彼女も俺が大好きだった。



そんな彼女のいた街は、やっぱり独特の雰囲気に包まれていた。



彼女が毎日通った道。

彼女の人生の内、少しの時間だけど、俺も一緒に歩いた道。



彼女は突然現れ、そして突然消えた。

いや、違うか。

突然消えたのは、俺の方だ。
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