いちご模様の赤い傘
ぼーっと突っ立っていた俺の横に、スッと俺より一回り小さい影が滑り込んだ。

見ると、綺麗な黒髪にキラキラ光る雫を付けたセーラー服の女の子が立っていた。

学校帰りに雨に降られて駅から走ってきたのか、肩で息をしている。

彼女は乱れたマフラーを巻き直そうと一回ほどいて、ふと顔を上げた。

そして、初めて俺に気付いたかのようにゆっくりとこっちを向いた。



時間がスローで流れた。

もしくは、停止した。

彼女の澄んだ瞳と俺の瞳がぴったりと空中で線を結んだ。



俺の受けた衝撃は大きかった。

感電したかのように体中に電流が走って、動くことができなかった。
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