いちご模様の赤い傘
彼女が立っている。

俺が大好きだった彼女が今、またこうして隣に立っている。

あの時から全く時間を感じさせない姿で。

背格好も顔立ちも、間違いなく彼女だった。



俺は目を見開いたまま、彼女から視線をそらすことも、指一本動かすことさえできなかった。

夢、なのかな?

もし違うというのなら、これは俺の編み出した妄想?



俺のことなんて忘れてしまったのか、まるで初めから知らなかったかのように、彼女は肩の雫を静かに払った。

彼女の仕草一つ一つが懐かしくて愛おしくて、胸の奥をキュッと掴まれた気がした。

こんなに簡単に再会できるなんて。
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