空は虹色、心は君色
動き始めた気持ち
10月下旬。
春華は進学先を一松工業高校に決めた。
「ただいまー。って誰もおらんか」
部活を終えた明が家に帰ると、待っていたのは闇だった。
共働きで夜はいつも家にいない両親。
冷めたおかずを電子レンジに入れるのは毎日あたり前の事だ。
しかしキッチンの机にあったのは、広告だった。
【仕事で明日の夕方まで帰れそうにないの。今日の夕ご飯と明日の送り迎え、春くんの家に頼んであるから、いい子にしてるんよ。】
「はぁ?まぢ?」
愚痴をこぼしながらも、この広告の字に従うしかない。
荷物を自分の部屋におき、春華の家に向かう。