【完】アップルパイ。~ズット君ノ隣デ~

「最初はホントに興味本位で、こんな事あれだけど優姫に似てる…って思ったんだ。だから、どこか優姫と重ねてた。」



海から波の音が聞こえる



私はそっと目を閉じた



「でもよく見たら全然違うんだ。笑った顔はそっくりだけど…でも、桜ちゃんは桜ちゃんなんだよ…」



「それでも側にいて欲しかった。店が終わって帰ってきたときに笑顔で“おかえり”
って言ってくれるのも嬉しかった。家に帰ればついてる明かりが俺の支えだったんだ」



大介さんは私の頭を撫でた



「色々びっくりしたよ。桜ちゃんの家の事とか…俺のこと好きって言ってくれたの嬉しかったし…でも恋じゃないって思った。どうしても優姫のことが忘れられなかった」



私の心はズキッと痛む



まだやっぱり…



「いや、忘れたくなかったんだ。優姫は俺が初めて愛した人だから。だから…誰も好きにならないって決めたんだ。でも違ってた。きっと優姫なら“好きな人と幸せになって”っていうと思う」



私は大介さんの手を強く握った



「俺やっとわかったんだ。いつも側にいてくれたのは桜ちゃんで、隣で笑ってたのも桜ちゃんだった。」




大介さんの優しい笑顔が夕日で赤く染まっている




< 129 / 137 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop