【完】アップルパイ。~ズット君ノ隣デ~
「最初はホントに興味本位で、こんな事あれだけど優姫に似てる…って思ったんだ。だから、どこか優姫と重ねてた。」
海から波の音が聞こえる
私はそっと目を閉じた
「でもよく見たら全然違うんだ。笑った顔はそっくりだけど…でも、桜ちゃんは桜ちゃんなんだよ…」
「それでも側にいて欲しかった。店が終わって帰ってきたときに笑顔で“おかえり”
って言ってくれるのも嬉しかった。家に帰ればついてる明かりが俺の支えだったんだ」
大介さんは私の頭を撫でた
「色々びっくりしたよ。桜ちゃんの家の事とか…俺のこと好きって言ってくれたの嬉しかったし…でも恋じゃないって思った。どうしても優姫のことが忘れられなかった」
私の心はズキッと痛む
まだやっぱり…
「いや、忘れたくなかったんだ。優姫は俺が初めて愛した人だから。だから…誰も好きにならないって決めたんだ。でも違ってた。きっと優姫なら“好きな人と幸せになって”っていうと思う」
私は大介さんの手を強く握った
「俺やっとわかったんだ。いつも側にいてくれたのは桜ちゃんで、隣で笑ってたのも桜ちゃんだった。」
大介さんの優しい笑顔が夕日で赤く染まっている