【完】アップルパイ。~ズット君ノ隣デ~
「ゴメンね…でも私は帰れないよ。楓のことは世界でたった一人の姉弟だから大切に思ってる。でも私は帰っても文句を言われるだけだから」
お父さんもお母さんも私を嫌いだと思うから
『…父さんも母さんも姉ちゃんの事嫌いじゃないよ。だってこの前姉ちゃんの写真見て母さん泣いてた。父さんだって…本当は姉ちゃんの事好きだよ』
「…それ本当なの?」
私は信じることが出来なかった
だって…今までそんな姿を私は見た事がないから
『そうだよ。でも父さんも母さんも素直じゃないから…本当は帰ってきて欲しいっておもってるはずだよ!』
その言葉は嬉しいけど
でも…
「でも…もう無理だと思うよ。前みたいには戻れない」
前みたいには笑えない
『なんで…!!』
「だって楓も見たでしょ?あのお母さんの顔。」
私は今でもあの時のお母さんの顔を鮮明に覚えている
『じゃあ僕も連れてってよ!こんな窮屈な所にはいたくないんだ!』
楓は本気のようだった
とても息が荒れているから
でも…