【完】アップルパイ。~ズット君ノ隣デ~
「俺はそんなつもりで桜ちゃんに接してない!迷惑ならとっくに出てってもらってるよ!」
大介さんの言葉なんて全然聞こえない
聞こえるのは私の声だけ
「私は好きだから大介さんの側にいたいって思う!でも大介さんは優姫さんの代わりに私を置いておきたいだけじゃないですか!!」
私は涙を1滴も出さずにドアの前で叫び続けた
「私は大介さんが好きすぎて苦しいんです!!大介さんを思うだけで笑顔にもなる、泣きたくもなる…」
「…桜ちゃん」
「こんなに苦しいんなら大介さんの事好きにならなきゃ良かった!!苦しい…苦しいよぅ」
本当は嘘
私が弱いから大介さんのせいにしたいだけ
私が涙を流す理由を大介さんに擦り付けたいだけ。
恋がこんなにツラいなんて思わなかったから
「…桜ちゃん」
その優しく私を呼ぶ声も今じゃ苦しい
「私の名前っ…呼ばないで下さい…」
「桜ちゃん…桜ちゃん桜ちゃん」
「やめてください!!」