ずっと好きだったよ
「誰がふざけてるって」
海は振り返った。そこには、遥斗が立っていた。
「なんで?まさか、教室にいたとか」
海は驚きを隠せなかった。
「そのとおり。てゆうかお前、恥ずかしくねぇーの。あんなに叫んでさぁ」
遥斗はバカにしていた。海の顔は真っ赤になっていた。
「あんたって、最低。バカ遥斗~」
海は、そのまま教室を飛び出した。




遥斗は、教室に一人になった。
「バカって、なんだよ」
遥斗は言った。
遥斗は最近、海を少し意識し始めていた。最近は、なんだこの女と思った。
でも、少しずつ海に対する気持ちが変わっているのが分かった。あの日、泣いていた海をだきしめたのも、海が特別な存在に変わっていたから。
好きなのかと言われると、よく分からない。でも、大切なのは確かだ。
しかし、会うたびに言い合いになってしまう。素直になれない自分がいる。
「はぁ~どうしたらいいんだよ」
遥斗は大きなため息を洩らした。
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