ずっと好きだったよ
いつものように、亜妃と一緒に帰るつもりだった。
「亜妃、帰ろ」
海は言った。
「話しあるんだけど。屋上行かない?」
亜妃は言った。
「いいけど」
海には、亜妃がいつもの亜妃ではないように見えた。

屋上に着いた。
「話しって?」
海は訊いた。
「なんで、言ってくれなかったの?」
亜妃が何を言っているのか分からなかった。
「えっ・・・・何が?」
海は聞き返した。
「とぼけないでよ」
亜妃の言葉に、海は硬直した。
「翔哉から聞いた。翔哉に告られたんでしょ」
海の頭の中は真っ白になっていた。
「翔哉が私に言ったの。海に告ったって。海が好きなんだって」
亜妃は叫んでいた。海はただ、亜妃を見ていた。
「なんで、なんで、海なのよ」
亜妃の言葉が、海の心に突き刺さった。
「亜妃・・・ごめん。ごめんね」
海は必死で謝った。亜妃の目には涙が浮かんでいた。
「信じてたのに」
亜妃はそうゆうと、屋上から居なくなった。


海はその場にしゃがみ込んだ。
《なんで、なんで、海なのよ》
《信じてたのに》
亜妃の言葉が頭から離れない。
海は泣いた。




《亜妃、ごめんね。私、亜妃を傷つけた。裏切られたって思われても仕方ないよね。私たちもう、友達には戻れないよね》




海は、屋上でひたすら涙を流した。


< 42 / 77 >

この作品をシェア

pagetop