ずっと好きだったよ
亜妃と翔哉が付き合い始めてから、あまり遥斗とも話さなくなった。もともと、クラスも違うし、会う機会がなかった。電話も向こうからもかかってこないから、自分からもかけなかった。


二人の間に距離ができた。



そんな日が何日か続いたある日。遥斗からメールがきた。屋上で待ってると。

海は、その時間の授業をさぼり、屋上へと向かった。
「よっ、久しぶり」
遥斗は言った。遥斗の態度に少しムカついた。遥斗の隣りに立った。
「良かったな。河井と翔哉」
遥斗は言った。
「うん」
海は答えた。しばらくの間、沈黙が続いた。沈黙を破ったのは、海だった。
「なんで、全然連絡してくれなかったの?別に、付き合ってるわけじゃないけど、なんか気になるじゃん」
海は言った。
「ごめん」
遥斗は謝った。
「謝んないでよ」
海は涙をこらえた。遥斗は黙り込んだ。
「もういい」
海はそうゆうと、遥斗に背を向けた。
「少しでも、遥斗に期待をもった私が、バカだった」
海は強く言い放った。
そして、屋上を後にした。



階段を降りながら、泣いた。拭いても拭いても溢れ出す涙。止めることができなかった。



あれから、遥斗とは廊下ですれ違っても何も話さなかった。携帯に電話もメールも来ることはなかった。亜妃も翔哉も心配してくれていた。それだけで嬉しかった。




遥斗への気持ちを消そうとした。でも、無理だった。忘れることはできなかった。


好きなのに、なんでこうなっちゃうんだろう




それからしばらくして、遥斗に彼女ができたと亜妃から聞いた。



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