ずっと好きだったよ
学校に行くと、亜妃が海の方に走ってきた。
「海ぃ~、何やってんのよ」
亜妃は大きな声を出していた。クラス全員の視線を感じた。
「亜妃、声大きいよ。とにかく、教室から出よ」
海は亜妃と一緒に教室を出た。そして、屋上に向かった。
「海、何してんのよ。遥斗君、彼女できちゃったんだよ」
亜妃は興奮していた。
「別に、遥斗に彼女ができようと私には関係ないし」
海は言った。
「何言ってんのよ。好きなんでしょ。遥斗君のこと。このままでいいの」
亜妃は言った。海は黙り込んだ。
「後悔しても遅いよ。素直になりなよ」
亜妃は海の背中をさすった。




海はずっと、屋上で考えていた。
《後悔しても遅いよ。素直になりなよ》
亜妃の言葉に胸が痛んだ。
「もうやだ」
海は放課後まで、ずっと屋上にいた。


教室に荷物を取りにいき、下駄箱で靴を履いていた。
そのとき、見たくないものを見てしまった。
遥斗が知らない女の子と一緒に歩いている。
胸が締め付けられそうだった。


海は急いで家まで帰った。何も考えたくなかった。知らないうちに、涙が溢れ出てきた。
その晩、海は泣き続けた。


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