ずっと好きだったよ
それから何度か、廊下で遥斗とすれ違った。でも、何も話さずただ通り過ぎるだけ。そんな日が何日か続いた。
「海、今日、一緒に帰らない?」
放課後になり、亜妃が海の机に来た。
「いいけど、翔哉君と一緒に帰らなくてもいいの?」
海は不思議だった。いつも一緒に帰ってるのに。どうしたんだろう。
そして、亜妃と一緒に学校を出た。
「どうしたの?」
海は訊いた。
「うん。なんかね、私たちだけ、付き合ってていいのかなって思っちゃって」
亜妃は言った。
「何言ってんの?そんなこと、気にしてないよ」
海は言った。
「翔哉も気にしてるんだ。別に、海たちのせいじゃないよ。でも、私たちだけが、幸せでいいのかなって思う時があるの」
亜妃が気持ちが伝わってきた。
「亜妃には、幸せになってほしい。翔哉君と。だから、そんなこと言わないで」
海は笑った。心配をかけたくなかった。
「海・・・・・私も、海には幸せになってもらいたいよ」
亜妃も笑顔を見せてくれた。
「幸せになりたいよ。好きな人と一緒に幸せになりたい」
海は涙を流しながら言った。
「なれるよ。海なら大丈夫」
亜妃は抱き締めてくれた。海は亜妃の手の中で思いっ切り泣いた。
「泣き虫・・・そんなに泣いたら、ブサイクになるよ」
亜妃は優しく頭を撫でてくれた。




幸せになりたい




遥斗と幸せになりたい




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