恋の坂道発進―2010年バレンタイン短編―



私は、いつもの教習コースを


いつもの倍の時間かけて運転した。




いろんな話をした。



大学で栄養学を勉強していると話したら、塩崎先生は朝食はご飯がいいのかパンがいいのかと真剣に質問してきた。



なんだかかわいい一面を発見。




塩崎先生は、1人暮らしをしているからなかなか自炊できなくて、コンビニの弁当ばかりなんだと言った。



どんな弁当を選べば健康を保てるのかと質問した塩崎先生の顔もまた真剣で、私も真剣に答えてしまった。




「あ~もう話さなくていい」



左腕を掴まれた。


また変な方向へ車が進んでいた。




「いきなりクラクション鳴らすな!!」


「それ、ワイパーだろ!そんな定番なミスするのはお前くらいだな」


「こら!俺の方ばかり見るな」




何度、バカと言われただろう。


何度も何度もため息をつかれた。




塩崎先生。



そんなあなたに恋をしました。


こんなに楽しい50分は初めてです。




この想いは止められません。


恋のアクセル、全開です!!






冷たいようで優しくて、見捨てているようでちゃんと見守ってくれている。





「もう二度とお前には会わねーぞ」



別れ際、そんな言葉をくれた塩崎先生。




もう私……メロメロです。







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