恋の坂道発進―2010年バレンタイン短編―
4.2度目の密室
―2度目の密室―
「ま~た、お前か。俺を指名するな」
いじわるな口調だけど、表情は優しい。
ま、あの受付のお姉さんへの笑顔の100分の1にも満たないけど。
「塩崎先生以外の先生だと、やる気が出ません」
「ストレートなヤツだな。俺は、お前と一緒だとやる気が出ない。だから、もっとうまくなってから俺を指名しろ」
“指名しろ”だって!!
ホストみたい!!
かっこいい。
もし、塩崎先生がホストだったら、絶対に破産するまで通っちゃう。
「S字とか坂道発進とか、お前絶対事故るだろ。俺、責任取りたくない」
うん。
間違いなく突っ込むね。
でも、先生と一緒なら怖くない。