恋の坂道発進―2010年バレンタイン短編―
あれ?
今気付いてしまった。
塩崎先生は、私の顔を見て、「ま~たお前か」って言ってくれた。
ってことは、覚えていてくれたってこと?
たった1回しか会ってなくて、しかも1週間以上も前だよ。
これって喜んでいいんだよね。
「塩崎先生、私のこと覚えててくれたの?」
「何言ってんの?教習原簿に名前書いてあるからわかっただけだよ」
ふふ。
照れちゃって。
名前と顔が一致していたってことだもん。
数多くのファンがいる塩崎先生に覚えてもらえたなんて奇跡だよ。
「うふふふふ」
「きも!!!お前、まじできもい!!」
まだ二度目なのに、なんだか友達みたいに仲良く話せる。
そりゃ、最初は顔が好みだったってのは事実だけど……
それだけじゃない。
話し方とか、性格とか、いろんな塩崎先生が好きだなって思ったんだ。
たった50分だったけど。