恋の坂道発進―2010年バレンタイン短編―
おでこは痛かったけど、こんなに嬉しいサプライズが待っていた。
下を向いて歩いていて良かった。
HGに落ち込むことを言われたおかげだ。
「こんな所に入っていいの?」
職員用の休憩所のソファへ座らせてもらった。
「いいよ。まぁ、ぶつかったお前が悪いけど、故障していたのはこっちのミスだし」
塩崎先生は、女性の職員の人にコーヒーを入れてくれと頼んだ。
「塩崎先生、時間大丈夫?」
「ああ、俺の担当の教習生が欠席だったから1時間空いてるんだ」
コーヒーを持ってきたのは、以前塩崎先生と仲良く話していた綺麗な受付の人だった。
「ごめんなさいね。張り紙が見えにくかったので、こんなことになって。大丈夫ですか?」
優しく声をかけてくれる受付の女性に、笑顔で答えようとすると塩崎先生が言う。
「コイツがバカなだけ。な~!川島」
嬉しくて顔がニヤけちゃう。
な~!って言いながら、私の肩をかすかに触る。
私って、Mなのかもしれない。
塩崎先生のドS発言にいつもキュンってしてしまう。
コーヒー、実は飲めないけど。
飲んでみよう。
ミルクを2つ入れて、砂糖もたっぷり入れて。
「おいしい!!」
「お前は・・・・・・変わったヤツだな。実は、ちょうど、川島に話があった。なかなか見かけなかったから声を掛けれずにいたんだけど」