恋の坂道発進―2010年バレンタイン短編―



塩崎先生は、ブラックのままコーヒーを飲んだ。



コーヒーカップを口に近づける時、おでこにしわを寄せて、目を大きくする。



その顔が、またまたかっこいい。





「お前、他の先生から問題視されてる。このままじゃ、前に進まないと思う。本気で免許取る気があるのか?」




ソファに並んで座るってドキドキする。


いつもは運転席と助手席だから距離がある。





「で、やる気はあんの?」





「あります。でも・・・・・・何をやってもうまく行かなくて、先生達から見捨てられてるなって思うけど。S字だって、7回も脱輪したし、正直・・・・・・自信もないけど。でも、でも」





「あ~!でもでもってお前は、でもでも星人か!もっと自信持って、前向きに考えろ。お前のやる気が見えれば、先生達だってしっかり教えてくれる。いいか?」





こんなに真剣に私のことを思ってくれる塩崎先生に、また違う感情が生まれていた。




今までの、恋する気持ちとは別に・・・・・・ 

教習所の先生として、尊敬っていうか信頼っていうか。











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