恋の坂道発進―2010年バレンタイン短編―
真剣に教えてくれる先生に感動しちゃうよ。
だから、真剣に聞く。
しっかりと教えてもらったことを吸収して、上達したい。
「お前は出来が悪いから、ほっとけないだけだろ?」
ボールペンでツンと私の頭をつつく。
塩崎先生は、ただかっこいいだけで人気者なんじゃないんだとわかった。
「問題は・・・・・・坂道発進だな。お前のことだから、坂道をバックで落ちていきそうだな」
「坂道発進、絶対怖い。でも、隣に乗ってる先生の方が怖いだろうなぁ」
「何を、他人事みたいに言ってんだ?お前がしっかり頑張るだけだぞ」
塩崎先生の手が好きだ。
字も好き。
説明するときの、真剣な声も。
すごくすごく・・・・・・
好きなんだよね。
塩崎先生は、坂道発進の注意点を細かく教えてくれた。
何よりも一番先生から教えてもらっったことは、自分を信じること・・・・・・だった。