恋の坂道発進―2010年バレンタイン短編―
「おい!!!あぶね~って!」
「あ」
失敗を恐れずに、積極的に行き過ぎた。
バス停に見立てた看板に、激突。
「まあ、いい。そのまま行きなさい」
夢のような時間だった。
坂道発進は、自分でやってみると想像していたよりも簡単に思えた。
全然できないけど、教科書で読むよりは、できそうだと思った。
「できないできないって思ってると、本当にできない。できるって信じれば、できる」
塩崎先生が言ってくれた言葉。
真剣にやれば、ちゃんと伝わる。
失敗の連続だったけど、塩崎先生は褒めてくれた。
恋だって同じだよね。
だめだって最初からあきらめていては、何も始まらない。
手の届かない人だけど、この想いを伝えるくらいは許される??
定番だけど・・・・・・
バレンタインにチョコをあげよう。
決めた。
もう決めたもん。
ただ想ってるだけじゃ伝わらない。
見ているだけじゃ、塩崎先生の記憶の中にも残らない。