恋の坂道発進―2010年バレンタイン短編―
バレンタインの日の教習所がこんなにも混んでいるのは、ここの教習所だけじゃない??
女の子で溢れている。
甲高い声が響き、甘い香りがする。
お目当ては・・・・・・
塩崎憲司。
うん。
覚悟はしてた。
こうなること。
私のチョコなんて、たくさんのチョコの中に埋もれてしまう。
というか、渡すことすらできないかもしれない。
制服を着た女子高生5人組。
明らかにバレンタイン用だとわかるピンクの紙袋を持って、受付付近でウロウロしていた。
今日、塩崎先生を指名できた子は、本当に運が良い。
私はあれから、一度も指名してはいなかった。
しつこく指名して嫌われたくなかったというのもあるけど、一番は・・・・・・
次に塩崎先生が隣に乗ってくれたときに、驚かせたかった。
“お前、頑張ったな”ってほめてもらえるように。
他のどうでもいい先生(HGなど)で練習していたんだ。