恋の坂道発進―2010年バレンタイン短編―





「俺に用って?」





やられた。



HG、恐るべし。



まさか、本人を連れてくるなんて。




しかも、今教習中だと思ってた。






「ああああ、あの・・・・・・ お風邪を召されたとお聞きしまして」




妙な日本語の私に、塩崎先生は笑い出す。




「ひとり暮らしの寂しい俺に、差し入れ?」





私が持っていたお弁当箱に顔を近付けて、クンクンとにおいをかぐ。




かわいい顔。





「うまそぉ~な匂い」





にこって笑って、私の手から煮物を奪う。




「ありがたく、いただきます」







< 42 / 52 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop