恋の坂道発進―2010年バレンタイン短編―
動けない。
そんな笑顔向けられると。
もっと明るい場所で見たかった。
「早く風邪、治してください」
「いつものお前らしくないな」
お前らしくないなって言いながら、私の髪をぐしゃってした。
今日はウイッグなしのもっさりヘア。
「今日の夕食にじっくり味わいます。サンキュー!」
塩崎先生の後ろを歩く。
塩崎先生の背中を見つめて。
“好きだよ”って。
言えないけど、心の中で何度も何度も。
好きだよ、好きだよ、先生が好き・・・・・・