恋の坂道発進―2010年バレンタイン短編―
「あ~、それと。昨日のチョコ、まだもらってねぇけど?」
振り返る塩崎先生。
勢い良く振り向いたせいで、前髪が乱れて、指でちょんと突っついて乱れを直す。
「隠れてたつもりだろうけど、俺にはしっかり見えてたぞ?待ち伏せ女~!!」
「え?」
昨日、一瞬見てくれた気がしたのは気のせいじゃなかった。
あんな暗かったのに。
あんなに隠れていたのに。
「もしかして、チョコ自分で食ったのか?」
「食べてないけど・・・・・・ 家に置いてある」
食べるわけない。
ベッドの上に置いたまま、いつか渡したいなって思ってたもん。
「じゃあ、明日でも持ってくれば?俺の終わる時間わかってんだろ?俺の車も知ってんだろ?俺の車の後ろでしゃがんで待ってろ。チョコ、受け取ってやるから」
泣いてもいいですか?
抱きついてもいいですか?
好きですって伝えてもいいですか?
もっともっと
もっともっと
好きになってもいいですか??