恋の坂道発進―2010年バレンタイン短編―




「お願いします!!」




塩崎憲司の顔を見ずに頭を下げた。



「こちらこそお願いします。それでは始めます」



ありきたりの挨拶。



声は、合格。


高くもなく低くもなく、ちょっと愛嬌のある声。




前方、後方の確認。



バタン。


乗り込んだ。




今までに嗅いだことのないいい香り。


車の中に芳香剤を置いているんだろうか。


それとも、塩崎から香っているのだろうか。




「どうかした?」



シートベルトを締めるのを忘れ、クンクン匂いを嗅いでいる私。





「す、すいません」




シートベルトを締めた。




そして……




運命の瞬間がやってくる。



遂に塩崎憲司の顔を見る瞬間が!!!!







< 6 / 52 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop