恋の坂道発進―2010年バレンタイン短編―
さっきは意識してなかったけど、多分身長は180近くある。
座高だけでもかなり高い。
「だからぁ~!!何だよ、さっきから」
イライラした口調で、私をにらむ。
あぁ、その鋭い目も、怒った口元も……
素敵です。
「もしかして、気付いてないんですか?」
「何がぁ~?」
呆れたようにため息をつき、手に持っていた教習原簿をバタンと閉じる。
「あなたは、自分のかっこよさに気付いてないんですか?」
「は~ぁ???お前、頭大丈夫?」
右手を私の頭に乗せ、頭を左右に激しく揺さぶる。
あぁ、私の心も揺さぶられています。
「真剣にやれ!ドアホ!!」
いやん。
乱暴な口調は、不良時代の名残かしら。